カテゴリー「木の話し」の11件の記事

2016/06/08

カマツカ

 かみさんが「林の中に白い花が沢山見える。行ってみたらカマツカだ」というので、見に行った。この時期工房周辺では、ほとんど緑一色だけど、そんな中にあって、木の白い花が目立ちます。

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カマツカは、「鎌柄」の字の如く、鎌などの農具の柄に使われるようです。材が硬くて割れにくいので、樫などと同様の用途に使われます。材質的には、ナナカマドやアズキナシに似ているようです。削ってみたい気がしますが、まだまだ

家の周りに、一箇所だけカマツカの木があって、前から気になっていたのです。秋に赤い実がなっていたので葉の形とからそれと分かったのですが、花の咲く季節は鬱蒼とした木に囲まれてしまうせいか、今まで花は見たことがありませんでした。今年は満開の花が咲き誇っていて、遠目からも見て取れたのです。この木は一風変わっていて、大雪か何かで幹が途中で曲げられて、地面に接触したところで発根したらしく、そこから立ち上がっていっぱしの木になっているのです。

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カマツカの周りはウバユリの畑のよう。アマガエルは鮮やかな緑の夏の装いになって大きな葉の上でのんびりしてました。

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白い花といえば、今年は、カンボクの花がいっぱいです。こんなに目一杯花のつく年も珍しい。

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2014/08/01

イチイの時計

 高冷地の生け垣といえば、イチイでしょうね。地域によってはオンコ、アララギなどと呼ばれるようです。
 諏訪で倒したというイチイの大木と枝を10年以上寝かせてあります。直径80cmの幹は長さ1mほどですが、中がウロでどう使えば良いか、思いを巡らしています。枝も短く切ってありますが、割れも入らず、虫もつかず、年輪も細かいので、こちらも小物製品の材料にと考えていました。白太の白と赤みのコントラストがきれいなので、生かしたデザインが出来ればと常々考えています。

最近、丸太を割ったままの形で、時計にしたものが好評だったので、また作ってみました。明日からお盆までの土日と盆休みは八ヶ岳農場に店を出すので、持っていく予定です。文字はバーニングで書き込んでみました。

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 このイチイは日焼けすると、大分黒っぽくなるので、そうなっても見やすいように、時針と分針は白い木のマユミ、秒針は緑っぽい色の神代ニレで木の葉を象っています。後ろ半分を分解するとムーブメントが出てきます。後ろ半分を取ると壁掛けにも出来ます。

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2014/01/05

ズミ

 別名コナシ、小梨平とかの地名がよくあるので、小梨の方が通りが良いかもしれません。リンゴのような花が咲いて、秋に小さな黄色の実がなります。赤い実のつくズミもあるようですが、深山工房周辺はほとんど黄色い実のようです。昨年は豊作で、沢山の花が咲き、実がつきました。今は赤くしぼんで葉の落ちた枝に点々と着いています。くせのある枝ぶりに沢山の小さな実がついているのが面白くて活けてみました。

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2013/12/29

マユミ

 この春、新築のために伐採したマユミの木をいただき、板にして乾燥させていました。最近、やっとしおりに仕上げました。

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 うちの周りにもマユミの木が幾本もありますが、高さはせいぜい5mほどで、大きくなる木ではないようです。今回の木も直径10cm強で、しおりにするにもぎりぎりのサイズではあります。家の周りの日当たりの悪い林の中では、なかなか実が着かないのですが、年によっては、小さな白い花が咲いて、秋には裂けた皮を笠のように被った赤い実がつきます。もっとも、木に雌雄があって、雄木は実がつかないので実のならないのは雄木なのでしょう。また、この地方では、この木の新芽も「木の芽」と呼ばれて、食用にもしたといいます。
 材質は緻密で滑らか、変形もしにくいので、櫛など小物用材として使われてきたようです。また、名前の由来のように、しなやかさを買われて弓材として使われたようです。
材の色は白く、木目も目立たず、素直な表情をしています。

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2013/11/16

エゾエノキ

 寒波の後、雨が降って、広葉樹の木の葉がほとんど落ちてしまい、深山の林はいよいよ冬の佇まいです。そんな中で、緑の葉が目立つ木があります。大きく立派な木が一つと、周りにいくつかの灌木サイズの木が点々としています。
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葉っぱをいくつかの樹木図鑑で調べてみると、どうやらエゾエノキらしいという結論に達しました。葉脈のパターンと鋸歯の形が決めてです。エノキかなとも思いましたが、エノキの鋸歯はやや丸っこく、先端側半分ほどしかギザギザになっていないそうです。
かつて、家の周りで2度ほど国蝶のオオムラサキを見かけたことがありますが、エノキにしてもエゾエノキにしてもオオムラサキの食草ですから、またお目にかかることがあるだろうと期待しています。

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 エノキの話ではなくなりますが、注文をいただいていた時計を仕上げました。クリの木です。 木目が変化に富んでいて、かといってうるさいほどではないので、入り皮の表情が木の大きさを感じさせて良い仕上がりではないかと思っています。針は黒いローズウッド(紫檀)でコントラストを強めにしましたが、ベースのクリの木は日焼けすると色が濃くなるので、将来とも針が見やすいように、また、暗い所でも見やすいように、白いコブシの木を象嵌しました。

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2012/02/21

木の話し シラカバ

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 写真は今日の深山工房の前の林のシラカバです。
 長野県の県木でもあり、高原に真っ白な幹で林立するシラカバは名前を知らない人がいないほど人気のある木です。工房近くには幾本も自生のシラカバがあります。老木になってきたせいか、日当りが良くないためか、幹はくすんだ色のものが多くなっていますが。枯れて倒れている木も多く、今年は余裕があったら、片付けて薪にしてしまいたいと思っています。
 シラカバは寿命が短く(20〜30年)、あまり太くならないうちに枯れてしまうことが多いようです。また腐りやすいこともあって、家具や建築用材としてはあまり使われません。板にした時の色が比較的白いせいでしょうか、おもちゃの材料としてはよく使われるようです。削りやすい材料だからでもあるのでしょうか。樹皮が白くきれいなので、こちらのほうが細工用にもてはやされますよね。
樹皮はまた、火付きが良いので、焚き付けに好都合です。お盆の時に束にされて店頭に並んでいるのを見かけますが、この辺りでは昔から送り火用に使われてきたようです。
 そろそろ2月も半ばを過ぎましたが、最低気温はまだマイナス10度近くなるものの、日差しの強さは日に日に強くなってきています。いろいろな木も水を吸い上げ始めていることでしょう。シラカバの樹液はちょっと甘みがあるようで、盛んに樹液をあげる時期になると、幹に穴をあけて差し込んだストローから樹液が取れ、飲用として使われるとのこと、自分も今年はやってみようかなと思っています。


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2011/06/09

木の話し トチ

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 木の仕事を始めて間もない頃、一枚板のテーブル材を探して銘木店に行ったとき、厚さ15cm、幅長さ2mほどの板が積まれていました。トチノキだということでした。トチノキというと縞杢の板が工芸品にしばしば使われるように、表情の少ない白い生地には杢による表情の変化が貴重ですが、この木にはそんな変化はありませんでしたが、その重量感には圧倒されました。大きなホールにこんなテーブルがどんと据えられていたら、圧巻だろうなという思いでした。幸か不幸かそのような木を扱う能力も需要もなかったので、拝んでだけきました。
 それ以降、材としてのトチノキを使う機会はあまり無いのですが、観光地でトチ餅をいただいたり、大きなトチの実を拾ったり、掌状複葉の面白い形の葉を見たりと、何かと興味深い樹です。知り合いにトチの実をもらって、林に埋めたのが50cm程になったりしましたが、日の光が足りないせいか、枯れてしまいました。今度は群馬県の上野村で拾ってきた実をもう少し日当たりの良い場所に埋めてみました。やっと50cm程になりました。今度は大きく育ちそうな気がします。

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2011/02/22

木の話し クルミ

 野生動物の食を支えている木の実といえば、クリやドングリがまず浮かびますが、クルミもこれに並ぶ木の実でしょう。もっとも、クルミは殻が硬くて簡単には食べることが出来ないので、リスやネズミなど齧歯類の独壇場なのかもしれません。
 私達の食用として流通しているクルミは、カシグルミなどの種類で、緑の外皮から核果が簡単に落ち、殻も割り易く、仁と呼ばれる食用にする部分の実も大きいのですが、林に自生しているのは大方オニグルミで、食べられる実を取り出すためには随分努力が必要です。私達は、木から落ちて外皮が腐りかけの実を核果の状態にして集め、洗って乾燥させます。殻は硬いので簡単には割れませんが、バイスなどで割って中の実を取り出します。仁も殻に絡んで取り出しにくかったりしますが、個体差があって、ヒメグルミのように平べったい形のクルミが実を取り出しやすいようです。2年ぐらいは保存できるようです。
 木の性格としては、ドングリのなるナラの木はやや乾燥した環境を好むようですが、クルミは湿潤な所を好むようです。深山工房の周りはクルミの木が多く、リスや野ネズミの天下です。また、リスが土の中にしまっておいて忘れられた実が、そのままになって芽を出し、光の届く道沿いなどにクルミの木がふえるという相互依存関係が出来ています。また、これらの小動物を狙って、フクロウやキツネがうろうろします。
 木材としてのクルミ(オニグルミ)の板は、削りやすく、狂いも少なくて、使いやすい材料です。親戚の樹種のウォールナットが欧米で古くから家具材として使われてきた点からもうなずけるでしょう。木の表情は、府中家具さんの木材図鑑のクルミ(http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/oni.htm)のようなものが普通ですが、結構表情の違うものも多いようです。近所で伐採した木も、北米産のブラックウォールナットぽいものや、赤みが強くて材の硬いものだったりもしました。ちなみに、塗装色で良く使われるウォールナット色はブラックウォールナットの色に由来するのでしょう。

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2011/01/26

木の話し ハンノキ

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 深山工房の周辺の木といえば、なんと言ってもハンノキです。写真は今朝のハンノキですが、天をつくように伸びた樹の上につけた花と球状果が見えるでしょうか。もう、とっくに花をつけていて、そろそろ花粉を飛ばし始めます。湿地に強い木で、工房周辺では、過密な木同士が光を求めて競争で上へ上へと伸び、遙か上の方で葉を広げ、花を咲かせます。
 太い木は胸高直径40cm以上のものもあって、倒した木は家具材になります。カバの木の仲間の特徴で、柾目に切ると放射状組織が美しい模様を見せます。栄養価が高いらしく、倒した木はそのまま放っておくと、すぐに菌や虫にやられてしまいます。伐採した樹は、早めに板に挽いて、樹皮をむいて、風通し良く桟積みしておくことが肝要です。
 栄養価が高い事は、腐りやすい反面、きのこのほだ木として都合が良いわけで、工房周辺の枯れた木には至る所ムキタケが発生します。径10cm程の木にナメコの種菌を打ってやると、これでもかと言うぐらい沢山のナメコが出ます。化学肥料が全盛となるまでは、工房周辺は草刈り場として使われていたということで、ハンノキは枝や落ち葉が良い肥料として使われていたとのことです。また、特徴のある形をした球状果は草木染めの染料としても使われていたようです。

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2011/01/02

木の話し ミズナラ

 ドングリのなる木としてよく知られています。我が工房は八ヶ岳山麓標高1200mのところにありますが、この辺りから下がコナラ、上がミズナラの植生が多いようです。形態はほとんど同じですが、葉柄の有り無しで区別できます
 木の仕事を始めて、最初に買った木がアサダと太さ50cm余のミズナラでした。丸太をどのように挽けば良いか尋ねられてとまどった記憶があります。結局、教わりながら、一寸一分と一寸五分の板に挽きました。持ち帰って桟済みするのにかみさんと二人、随分重くて、苦労しました。その一部が自宅の座卓になっています。
 ナラは板にすると、年輪の木目とは別に、トラフと呼ばれる模様が出てくることがあります。木を柾目に木取ると、芯から放射状に出ている組織が大きく見え、これが虎の縞のような模様になるのです。他と違うひかり方を見せて魅惑的です。
 ミズナラも育った場所によって様々に異なる個性を持っています。森の中で百年以上もゆっくり成長した目のつんだミズナラはヌカナラと呼ばれ、美しく、また、気持ちよく削ることが出来ます。明治時代に、それまで顧みられなかった北海道のミズナラが異人に評価され、ヨーロッパに大量に輸出されたことは、あまりに有名です。今では太い木も少なくなり、貴重な資源となりました。

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